2009.08.05

損なわれたヘミングウェイ、ガリレオのコストパフォーマンス…

 
7/12に「怒濤の二週間がやっと終わった」と記したが、実はまだ終わっていませんでした。気づけば8/5、ほぼ一ヶ月も更新せず…いつも来て下さる方々、すいません。
 
最近は小テーマを4つ同時進行でやっていたが、要領よくこなせずもつれてしまった。量は50枚強なのでそうでもないが、テーマごとに頭を切りかえる必要がある。そこがうまくいかなかったのだ。
 というわけで真夏の八月の課題は「頭の切り替え&メリハリ」が目標! 今月は大小のテーマが10を超えているので、うまくこなしていかないと。
 
それにしても地味な目標…「真夏の八月の課題は○○浜の波を制覇!」「真夏の八月の課題は関西圏の花火大会をハシゴ!」とか課題にしたい…あぁ、海に行きたい。
 
最近、小説がなかなか読めないのだが、かろうじて読んだのはこんな本。
  
・レイモンド・チャンドラー『長いお別れ』(清水俊二訳、新潮文庫) ☆☆☆☆☆
 読み返すたびにしみじみと感動する。英語版と異なり、清水訳はきれいでポップな調子なのですらすら読める。村上春樹訳は英語版に近く、忠実な翻訳だが、そうなると一節ごとに立ち止まりたくなるので、さっと読みたい時は清水訳がいい。
  
・アーネスト・ヘミングウェイ『移動祝祭日』(高見浩訳、新潮文庫) ☆
 “A Moveable Feast“の新版。日本語訳が長らく絶版だったため、新訳に期待して買ったのだが全くダメだった。
 現在、新潮文庫のヘミングウェイは多くが高見浩だが、どれもよくない。高見訳は英語のビシッとしたリズムを、日本語的ぐにゃぐにゃ感に直している(それも無自覚に)。特に違和感をもつのが読点の置き方で、くわえて言葉のニュアンスを考慮に入れない訳語の当て方も奇妙だ(人のことはいえないが…)。
 英語で読んだ方が断然かっこいいことを知った切ない日本語ヴァージョンだった。
  
・帚木蓬生『臓器農場』(新潮文庫) ☆☆☆
 特殊な病院のマニアックな設定がいい。やや強引な展開、登場人物の平板さはあるかもしれないが、チーム・バチスタシリーズより数段優れているのではないか。ただ、この人は恋愛関係の描き方がどうして平淡になってしまうが、今回もイマイチだった。
 しかし、場面ごとの喚起力はなかなかのもの。特に無脳症児の病室の描写などは見事だ。
 
・東野圭吾『ガリレオの苦悩』(文芸春秋) ☆☆☆
 短篇集。どれも見事にまとまっている。ストーリーがとにかく完成している。余暇の読書として最適の文体と内容で、コストパフォーマンス(?)がダントツ優れている、という感じだ。
 
・東野圭吾『さまよう刃』(角川文庫) ☆☆☆☆
 文句なしに面白い。長篇でこれだけ読ませるのは圧巻。
 
・浜辺祐一『救命センターからの手紙』(集英社文庫) ☆☆+
  作家の本職は救命救急センターの医者。そのため、現場を経験しなければ出てこない臨場感があり、また救急センターでの人間模様の描き方に強い説得力がある。ただ、医療関係が苦手な人にはおすすめできない。
 友人がすすめてくれたので読んだのだが、自分からは手に取らないタイプの本なので、その意味でも面白かった。
 
・山田悠介『パズル』(文春文庫) ☆
 学校ものの古典、宗田理『ぼくらの七日間戦争』的なノリの現代版。
 
明日からまた忙しくなるが、時間を作って本を読める度量の人物(?)にならねば!


(BGM):エフゲニー・ムラヴィンスキー&レニングラードフィルハーモニー管弦楽団
      [チャイコフスキー 悲愴] (1983)
posted by dear prudence at 13:11 | Comment(4) | TrackBack(0) | 読む
この記事へのコメント
お久しぶりです!
多忙な日々のようで…夏バテしないように、どうかご自愛下さいね。

「さまよう刃」、私も好きな作品です。
お父さんの気持ちを思うと、心が痛みます。
東野作品は、読んでいて辛いのですが、すらすら読んでしまいます。
Posted by マッキーマウス at 2009年08月06日 12:47

 残暑お見舞い申しあげます ( ̄∀ ̄)ノ 
 立秋を過ぎても蒸し暑い日が続いていますが、おかわりありませんか。
 
 コメントありがとうでした(返信が大変に遅れごめんなさい!)。
 「さまよう刃」、面白いですよね。マッキーさんの指摘はまさにそうで、登場人物の気持ちを考えると辛いのですが、すらすら読めてしまいます。そのどちらも両立している点が東野作品の魅力なのかもしれません。
 登場人物の不幸や死に関しては、村上春樹と比較するとかなり面白い作家さんなのでは…とよく感じます。
 
 そうそう、マッキーマウス☆ブログ、いつも楽しく読ませています。最近、コメントを記入させてもらうことが難しくなったので黙々と(?)拝見していますが、読むたびにアルコールが飲みたくなります(笑)。 
 最近、遊ぶことが少なくなってきたので、メルモさんの日々を垣間見るたびに「こちらももっとハジけて生きていかな!」と改めて反省(?)しています。

 
 まだまだ残暑が続きそうです。お仕事に飲み仕事(?)、くれぐれもご自愛のほどを!
  
 
Posted by dear prudence at 2009年08月15日 10:15
お恥ずかしい話ですが、村上春樹作品、一冊も読んだ事がないんですよ・・・。
食わず嫌いってわけでもないから、ただ読む機会がなかっただけなんですけど。
今読んでいる本を読み終わったら、図書館で探してみようかな。

私のブログ、コメント欄無くしちゃったんですが、メッセージは送信できるので、もし何かあったらこちらまで。

いつか、prudenceさんと飲みに行ける日を楽しみにしていますよ。(笑)
Posted by マッキーマウス at 2009年08月17日 15:43
 おはようです。
 村上春樹ですが、作品として面白いのは長篇なら『世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』、短編集なら『蛍・納屋を焼く・その他の短篇』『中国行きのスロウ・ボート』あたりでしょうか。
 村上さんは、言葉の上でも人の死に異常に敏感で、現実の死と小説の登場人物の死をイコールに近いところで感じているフシがあります。
 東野さんは、登場人物の死はあくまで小説上の世界とわりきって、愉しみながら執筆している感じがあります。そういう意味で、二人は対極に感じられます。
 村上作品、いつかお読みになってみて下さい。いい悪いは別として、現代の純文学を堪能できますよ(笑)。
 
 またメッセージ送信、ありがとうです。記事のコメントなどはそちらにお送りしますね。
 そして、いつの日か痛飲しましょう! 楽しみにしています。
 
Posted by dear prudence at 2009年08月18日 09:21
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